約1年ぶりの全国ツアー「阿部真央らいぶNo.3~ZEPPとQUATTROだけでごめんねTOUR~」最終日、Zepp Tokyo公演。阿部真央はこの1年間、良いことも良くないことも含めて、様々な経験をした。喉の治療のため、活動休止。「いままでのアルバム以上に、自分自身に近い歌が多い」と語った3rdアルバム「素。」のリリース。パフォーマーとしての復活を期した夏のライブ「阿部真央らいぶ夏の陣」(日比谷野外大音楽堂/大阪城音楽堂)。この夜、Zepp Tokyoのステージで彼女が見せたのは、すべての経験を糧にしながら、アーティストとしてパワーアップを続ける真摯な姿だった。
テキスト:森 朋之/撮影:古渓一道
この日のライブはデビューアルバムのタイトル曲「ふりぃ」からスタート。心地よいスピード感をたたえたバンドサウンドのなかで彼女は、溢れんばかりの情感と爆発的なダイナミズムを共存させたボーカルを高らかに響かせる。「いっしょにZeppを揺らしましょう!」という煽りとともに放たれた「I Wanna See You」では、この日最初の大合唱が巻き起こる。喉の調子はまったく問題なし。というか、いままで見たことがないほどの素晴らしいテンションだ。
その後も"シンガーソングライター・阿部真央"の色彩豊かな魅力を感じさせるシーンが続いていく。「怖がるのは 踏み出してからだ」とオーディエンスを鼓舞する「走れ」、「ずっと ずっと ずっと ずっと好きよ...」という真っ直ぐな思いを描き出す珠玉のラブソング「15の言葉」、そして、アコギの弾き語りによって、あまりにも切ない恋愛感情がじんわりと広がった「貴方の恋人になりたいのです」。生々しい感情から紡ぎ出された歌を、ここまでポップに--つまり、誰もが共感できるように--表現できるシンガーは、本当に稀だと思う。
「去年の12月6日、ここで"パワーアップして帰ってきます"と言ったんですよね。だから、ぜひパワーアップした阿部真央を見てほしいと思います」というMCの後に披露された最新シングル「側にいて」は、この日の最初のクライマックスと言っていい。大切な人に伝えたいことがあるなら、いますぐに伝えたほうがいい。"あのとき、言えば良かった"と後悔してほしくない。この曲から伝わってくるメッセージは、2011年という年において、きわめて深い意味を持っていると思う。
また、震災後に書かれたバラードナンバー「光」(アルバム「素。」収録)も強く心に残った。美しいメロディとともに響き渡った「必ず 迎えに行くから 待っていて」というフレーズからは、彼女の切実でまっすぐな思いが確かに感じられた。
そして彼女は、2度目のMCでゆっくりとオーディエンスに語りかける。喉のリハビリの過程で落ち込んだ時期があったこと。そのときに自分を支えてくれたのは、ファンからの手紙やメールだったこと。誰にでも落ち込むことはあるけど、その時間は決してムダではないということ。「次の曲はみんなへの愛を込めて歌います」という言葉とともに演奏された「いつの日も」における、祈りにも似たボーカルには本当に心を揺さぶられた。特に「二人共に生きた今日を その胸に刻んで いつの日も思い出して」というフレーズは、彼女とオーディエンスの強い絆を象徴している、と思う。
その後は「伝えたいこと」「loving DARLING」「モットー。」などのアップ・チューンを連発、会場の温度をグッと高めていく。ストレートなロックサウンドによって(西川進/Gt、佐野康夫/Drなど、凄腕のミュージシャンによるバンドも最高!)、彼女のボーカルはさらにテンションを上げ、オーディエンスひとりひとりの心と身体を気持ちよく揺らしている。シングル「側にいて」のインタビューのときに彼女は「みんなが楽しんでくれる、もっと感動できるライブにしたい。音作り、曲の組み立て、パフォーマンスを含めて、レコーディングと同じように納得いくまで準備しようと思ってます」と話していたが、まさにその言葉どおりの光景が目の前に広がっている。すごい。
本編のラストは「素直な心が愛しい人の前で 特別輝くように」という愛らしい歌詞を持つ「ポーカーフェィス」。"あべまコール"に導かれたアンコールではキュート&ポップな「モンロー」、凄まじい声量の大合唱が起こった「ロンリー」、さらに「デビューのきっかけになった曲。ライブでしか歌わない曲です」という「母の唄」(ライブのたびに聴いているが、何度聴いても涙腺を刺激される)も。「自分にとって大きな1年になった」という2011年を締めくるライブで、自らのポテンシャルをしっかりと見せつけた阿部真央。このツアーで得たものはきっと、彼女の今後にとって大きな財産になるはず。シンガーソングライター/パフォーマーとしての飛躍的なステップアップを示す、素晴らしいライブだったと思う。
▼ セットリスト
阿部真央「らいぶNo.3~ZEPPとQUATTROだけでごめんねTOUR~」
M1.ふりぃ
M2.I wanna see you
M3. give me your love
M4. 未だ
M5. 走れ
M6 .15の言葉
M7 .じゃあ、何故
M8 .貴方の恋人になりたいのです(弾き語り)
M9. 側にいて
M10. TA
M11. 光
M12. 19歳の唄
M13. いつの日も
M14. 伝えたいこと
M15. loving DARLING
M16. YURALI forever
M17. モットー。
M18. ポーカーフェイス
EC-1 モンロー
EC-2 ロンリー
W EC-1 母の唄【弾き語り】
アヴリル・ラヴィーン The Black Star Tour
【振替公演】 2012.2.4(土)/2012.2.5(日)さいたまスーパーアリーナ
Opening act出演
阿部真央 貴方の恋人になりたいのです インタビュー
http://www.inmusic.jp/special/interview/20090805627/
























