約一年ぶりそしてたむらぱんとして4枚目となるフルアルバム「mitaina」が2012年1月18日にリリースされた。これまでシンガーソングライターとして作詞作曲にとどまらずアレンジワークまでほぼ一人で楽曲制作をしてきたたむらぱんにとって本作は外部のミュージシャンやアレンジャーとのコラボレートを積極的に推し進めた意欲作。これまで一人での制作を貫いてきたたむらぱんにどんな意識の変化があったのか。その結果出来上がった「mitaina」はどんなアルバムになったのか...。
これまでにないほどにストレートな恋愛を歌った「白い息」、そしてイギリスのパンクバンドSNUFFとコラボレートした「フォーカス」の制作秘話など読みどころ満載なスペシャルインタビューです。
これまでにないほどにストレートな恋愛を歌った「白い息」、そしてイギリスのパンクバンドSNUFFとコラボレートした「フォーカス」の制作秘話など読みどころ満載なスペシャルインタビューです。
- INMUSIC
- 最初にアルバムタイトルについて聞きたいんですが「mitaina」と言うタイトルは「◯◯みたいな」と言う所からついたんですか?
- たむら
- それも入ってますね。今回のテーマと言うか作品のイメージがいい意味での「まとまりのなさ」。そのまとまりの無さをあえて一つに収めたっていう「やっちゃった感」と色んな人と一緒にやるっていう好奇心を表現できればいいな...って。で、出てきたのが「やってみたい」とか「見てみたい」って言う言葉だったので、どっちかと言うと「見たい」の「mitaina」ですね。あとは見てみたいって好奇心でやってしまうことへの恐怖感もあったので、それに突き進むための濁した言い方ですね。「みたいな」って言っておけばちょっとジョークになってやりやすくなる?そこに自分の本質にも近いところがあると思ってますし、ちょっとごまかしながらでもやっていけそうってところがあると思うので、そういう思いをこのタイトルに込めた感じですね。
- INMUSIC
- 今回のアルバムは既存のリリース曲が「しんぱい」だけですが、発表曲が少ない中で作っていくアルバムと言うのは2枚目や3枚目の時と違うところはありましたか?
- たむら
- これまでアルバムの選曲する時に「この曲入れられないんだ...」って思うことも結構あったんです。もちろん初めて聴く人のためにシングルは入れた方がいいし、その必要性もすごく分かってるんですけどね。だからアルバムに20曲ぐらい入れられたらいいのに(笑)って自分勝手な思いもあったりしたので新録がいっぱい入ることは自分の中では嬉しいことでしたね。
- INMUSIC
- 今回のアルバムを最初に聴いて「変わった」「新しい」と言う感じがしました。セカンドデビューアルバム?と言ってもいいんじゃないかなって。
- たむら
- 今回のアルバムを作る時のきっかけと言うか...「自分の世界を変えたい」「何かが生まれる」と言うよりも「再確認したい」っていう意味合いが強かったんです。それで色んな人と一緒にやったんですけど、もちろん誰かとやることは新しいことも増えるし、何か変わることもあるかもしれない。でもその結果「自分の要素は特に必要ないな」って思っちゃったらどうしようとか...。ただ、やってみて「やっぱり変わんなかったな」って思ってるんですよね。良い意味で「一緒だった」「同じだった」「これで良かったんだ」って思えてる部分がすごくあったので、そういう感覚はこれまでのアルバムとは違うかもしれないですね。
- INMUSIC
- 「しんぱい」のインタビューで湯浅さんにアレンジをお願いをした経緯を伺った時、たむらさんが自分以外の他の人との距離感を確かめてる感じがしたんですね。今回のアルバムではそれをさらに押し進めた感じなんでしょうか?
- たむら
- 「しんぱい」の頃からそういう動きはしてたんですけど、やっぱり作品を誰かと作るっていうのは私にとっては結構大事(おおごと)なんですよね。だから一緒に出来る人とできない人っていうのもあったりして...。そうやって色んな人の力やサポートを得て、自分の音楽や自分自身に一つ明確な意識?が芽生えればいいなっていう期待はあったんですよね。
- INMUSIC
- その結果が「変わらなかった」と。
- たむら
- 変わんなくて残念とかじゃなくてすごく良かったと思ってるんです。180度何かが変わったとかじゃなくて360度。いろいろ体験して戻ってきた感じがあって。でもやっぱりやった分の経験とか知識は増えたので、すごく意味のあることだったなと思ってるんですよね。
- INMUSIC
- ただ今回のアルバムで他の人と一緒に楽曲制作をしたことでたむらさん自身の曲作りや音にも影響を受けた部分もあったんじゃないかと思ったんですが...例えば「ノック」とかはすごくこれまでのたむらさんっぽい曲だなと思ったんですが、逆に「ハイガール」とかはだいぶ変わったなぁって印象がありました。
- たむら
- そうですね。今回のことで自分がすごく柔軟になったなって思いましたね。制作する時に曲に対する解釈やアレンジは色々出てくるんですけど、例えば極端な話、前だったら「この音で決めちゃっていいのかな」「この音色が後になって良くないってなったらどうしよう」とかそう言うところまで考えてた不安がなくなったと言うか、その部分が見えるようになったっていうんですかね。ふさわしい曲の表現が...。
- INMUSIC
- それはこだわらなくなったということ...?
- たむら
- ではなく「分かるようになった」...って言ったら変かもしれないんですけど。あと、違う雰囲気の楽曲をやる、曲調が全然変わる、歌い方も変わるとか、そういうのを当たり前にしたい思いはずっとあったんですけど、どうしたらそういう部分を聴く人に浸透させていけるかって言う葛藤があったんですよね。なので今回はそれができる一つのきっかけになったような気がしてて...。たぶんそれは他の人と一緒に作ることで自分自身の「残り方」とか「成り立ち方」も分かったから、どんな状況、どんなテンションになってもあんまり怖くない、と言うかそれを面白がれるようになった感じはありますね。
- INMUSIC
- 「しんぱい」の湯浅さんもそうなんですが(前作『ナクナイ』収録の)「ごめん」のアレンジをサポートしたDr. kyOnさんの話を聞いてて、たむらさんは他の人と一緒にやる時に自分が持ってない音や表現を積極的に取り入れようとしてる感じがしたんですが。
- たむら
- やっぱり「ないもの」が欲しいので(笑)。できないことに惹かれたり、ないものが欲しくなったりとかは音楽の中でもあると思いますね。
- INMUSIC
- その一番最たるものがSNUFFとコラボレートした「フォーカス」って感じでしょうか。
- たむら
- そうですね。それに自分も便乗しちゃえみたいな。そういうきっかけを求めてたと思うんですよね。
- INMUSIC
- ちょっと余談なんですが、「sakusaku」(←テレビ神奈川のローカル番組)に出演した時「フォーカス」のトロンボーンの録音の話をしてましたよね。あまりにお上手じゃなくて参ってしまったっていう...。
- たむら
- はいはい(笑)してた(笑)
- INMUSIC
- そのトロンボーンは結局「フォーカス」に入ったんですか?
- たむら
- 入ったんですよ!最終的に。編集の時に入れるかどうかと色々やってて。でも入ってないと...
- INMUSIC
- 何か物足らない感じがするって番組でも言ってましたよね。
- たむら
- そうなんです。縁の下の...じゃないですけど、それはその微妙な所が支えてるんですよ。サビとかで一応鳴ってると思うんですけど、まあ...聴こえなく...ても...いいんです(小声)ダメかも知れないけど(笑)
- INMUSIC
- (笑)あと今回のアルバムで一番インパクトが大きかったことなんですが、たむらさん、恋愛の曲をたくさん収録されてますよね。
- たむら
- 多い...のかなぁ???
- INMUSIC
- あくまで僕の主観で、なんですけどプロモーション用の資料見ながらチェックしたら...7曲?
- たむら
- うそぉ(笑)
- INMUSIC
- 資料にハートマークがついてるのがそれです。(ハイガール、フォーカス、白い息、イェイ、ノック、かるかる、ショータイム)
- たむら
- (資料を覗き込みながら)はいはいはい...。ズバリっていうのももちろんあるんですけど、例えば「ハイガール」とかは私の中では友情の歌だったりするんです。一人より二人の方がいい...でもまあそれも恋愛に例えられるし「かるかる」なんかは明確に何って言ってないところが色んな状況に置き換えられるのかなぁって言うのもありますね。ただ確かにダイレクトに分かりやすいのもありますよね。
- INMUSIC
- 今までのたむらさんって恋愛をストレートに歌ってる曲が少ないなって思ってたんですよ。むしろほぼ無いぐらいの印象で。
- たむら
- うんうん。
- INMUSIC
- あと「sakusaku」でのトークだったり、僕がインタビューさせてもらう時でも、恋愛の話をするとさらっと受け流すじゃないですか。
- たむら
- (爆笑)はいはい。
- INMUSIC
- なので恋愛の話をするのがあまり好きじゃなかったり、苦手なのかな?と思ってたんです。
- たむら
- それはアレですね。よく私が言うんですけどエンターテイメント感っていうか「ちょっと夢のある世界」「現実だけど現実過ぎもしない世界観」を理想としてる分、恋愛は一番現実感が出やすい、って意識があるのかもしれないですね。ただ今回の曲の中でも割と昔に書いてたものがあったりするので、曲のネタとしては恋愛もあったと思うんです。恋愛の歌が一ついいなと思ったのは、恋愛のネタやシチュエーションってすごく伝わりやすい感情だなって。あと現実感ありすぎるって言うのは逆に返せばすごい親近感でもあるから、それを拒絶してる訳ではなく大事にしたいなって思ってる部分ではありますね。
- INMUSIC
- ちなみに今回の曲だとストックしてあった曲ってどれなんですか?
- たむら
- この中で言うと「白い息」はそうですし「ショータイム」とかもちょっと前だったりしますね。「ハイガール」は一番新しいんじゃないですかね。
- INMUSIC
- たむらさんの恋愛の歌っていうと「ノバディノウズ」とか「WARAW」とかみたいに恋愛を俯瞰した捉え方とか比喩表現だったりとか、あまり相手が目の前にいる感じの聴こえ方がしなかったんです。でも今回のアルバムの曲は相手が目の前にいますよ、っていう近い距離感の歌が多かったのがすごく新鮮でした。
- たむら
- たしかにそれはありますね。相手が見える、一人の歌じゃないって感じはありますね。
- INMUSIC
- で、それを一番強く感じたのが「白い息」なんです。
- たむら
- はいはい。
- INMUSIC
- PVも見たんですが、あれを見て「あ、たむらさんが恋愛の歌うたってる」っていう印象を受けたんです。今までのPVはたむらさんが一人で出るか、「ラフ」とか「しんぱい」みたいにファンタジックな世界にいるたむらさんと他の人達って感じだったのが「白い息」はすごくリアルな世界観になってて...。あれは意図的にやったことなんですか?
- たむら
- そうですね。私もこの「白い息」って曲は歌詞も含めて「こんな純粋な表現でいいのか?」って思うぐらいだったんですよ。でもさっき言った親近感っていうかすごく分かりやすく共有できる感覚ってそこにあるなって思ったので、この曲に関してはそれを徹底させたいって思ったんです。なのでその意図は監督にも伝えました。
- INMUSIC
- 島田さん(PVの映像監督)の画もちょっと違って見えたんですよ。他の作品だともっと作りこんだ世界観の映像作品が多いのに「白い息」に関してはごく普通のリアリティーだし、たむらさんも日常にいる人として振舞っていて、その中で恋愛を演じているたむらさんを見てたらあの相手役の動物にジェラシーを感じてしまいました(笑)
- たむら
- (一同爆笑)でもPV撮影してる時、役者さんってすごいと思った。いくら動物の被り物しててもすごくいい人?に見えてきちゃったりするんですよね。無条件に知り合いのような気がして、すごいなぁって思いましたね。
- INMUSIC
- たむらさんはライブでも楽曲の中でも日常感を出すのが少ない、と言うかあえて出してない?ようにも見えたんです。それはさっき話してたたむらさんの理想とする「現実だけど現実すぎもしない感」につながってるのかもしれないですけど、それがあのPVや楽曲では今まで見られなかった部分が前面に出てたのがびっくりだったんです。
- たむら
- そうですね。自分の中では作品が外に出るタイミングで全てのイメージができると思ってて。周りから見た自分のイメージとか含めてなんですけど。だから今回選んだ曲でそういうことができたことで、肩の荷が降りたじゃないですけど、ああいうイメージがOKになった感じになったらいいかなって言うのはありますね。
- INMUSIC
- なるほど...。ちょっと話飛びますがアルバムの最後の3曲ってタイトルが割と長いですよね。
- たむら
- ホントだ。
- INMUSIC
- 今までたむらさんのタイトルって単語とか短い言葉が多かったので最後にタイトルが長い曲が続いてたので少し気になったんですが。
- たむら
- たぶん最後の3曲とかはデモの時から変わらなかったからだと思います。(仮)のタイトルが定着しちゃった。でも、私「やっぱり今日も空はあって」の感じとか気に入ってますね。タイトルつけるのって難しい時もあるんですけど、最初のままが一番いいなってことがありますね。
- INMUSIC
- アルバム全体を聴いて最後の3曲ですごく締まった感じがしました。
- たむら
- 嬉しいです。色々やったことが最後は一人の部分になって...違う表現で言えば色んな所に向いてた視野が定まってくるイメージだったらいいなって。最後から2曲目の「そのたびバースデー」は歌録りもトラックも演奏も全部自分でやった曲なんですよ。最後に私も今回一緒にやってくれた人の側、アレンジャー側に入っての...たむらぱんでした、って形で終われたらいいなって思ってたのでそういう流れを感じてもらえたら嬉しいですね。
- INMUSIC
- では、楽曲の話はこの辺にして、ジャケットの話を聞かせてもらえますか。今回もまた面白い感じですね。
- たむら
- パッケージは手にできるものの魅力として何か一つ面白い事を、と思って作る時にみんなで話すんですけど、今までのって一歩入り込まないと見れない部分があったんですよ。広げるとか(ノウニウノウン)、3Dメガネをかけたら分かる(ナクナイ)とか。なので今回は外から見ても無意識の内に目に入ってくるような、二度見をしちゃうような感覚のものにしたいね、っていうことでモアレを出すっていう方向になったんです。
- INMUSIC
- これ実際にこの絵に決まるまでの過程って結構かかったんじゃないですか?
- たむら
- 毎回ジャケット作ってくれるチームはレコード会社の担当の人といつもバトルしてるので(笑)「これはできる」「やりたい、やれない」とか。そこでいつも頑張ってくれてるので、今回も面白いものになったなと思います。
- INMUSIC
- あと初回限定盤のDVDには「関白宣言」(さだまさしカバー)が入ってるんですよね。
- たむら
- 入れました。たぶんDVDの収録曲の中で一番いいんじゃないかと思うんで(笑)是非見ていただきたいです。
- INMUSIC
- では、最後に今回のアルバムを総括するとどんなアルバムになったかを聞かせて欲しいんですが。
- たむら
- そうですね。背筋がシュッとする(笑)アルバムかなとは思ってますね。
- INMUSIC
- それは自分自身の背筋が?
- たむら
- 聴いてくれた人もそう言う思いになって欲しいなあって。色んなところを見つつ、気持ちが改まるっていうんですかね。作品になった後って聴いてくれる人と自分のスタンスって近いと言うか一緒なので、そう言う部分が作品を通して聴く人に投影できればいいなって言うのはあります。楽曲のどの曲がどうとかももちろんあるんですけどトータルとしてそういう感情の締まり方が起きる一枚、「改めて」とか「新たな」って感じが聴き終わったあとに生まれるといいなって思ってます。
tamurapan "mitaina" TOUR
3/21(水) shibuya O-EAST
OPEN:18:30 START:19:30
3/26(月) umeda AKASO
OPEN:18:30 START:19:30
3/27(火) nagoya THE BOTTOM LINE
OPEN:18:00 START:19:00
たむらぱん「mitaina」発売記念プレミアム・アコースティックライブ in 重要・有形文化財 <札幌・福岡>
2/9(木) 福岡・博多百年蔵
OPEN:18:30 START:19:00
2/10(金) 札幌・豊平館 2F広間
OPEN:18:30 START:19:00
7thシングル「しんぱい」インタビュー http://www.inmusic.jp/special/interview/201106272519/
3rdアルバム「ナクナイ」インタビュー http://www.inmusic.jp/special/interview/201012212126/
6thシングル「ラフ」インタビュー http://www.inmusic.jp/special/interview/201010201947/






















