一度聴いたら耳に確実に残る声、そしてヴォーカリストとしては既に完成の域に近い表現力と技量を持つ佐藤史果。女性シンガーシーンの新星誕生を予感させる彼女はまだ若干19歳。ゴスペルクワイヤ出身という稀有な経歴を持つ彼女は幼少のころからブラックミュージックと共に歩んできたという。
そんな佐藤史果の2ndシングル「からっぽ」は失恋をモチーフにしたミディアムテンポのナンバー。苦労のレコーディングの末に仕上がった「からっぽ」は本人も納得のタイトル。インタビューではニューシングル「からっぽ」の制作エピソードに加え、音楽との出会いからこれまでを語ってもらった。
そんな佐藤史果の2ndシングル「からっぽ」は失恋をモチーフにしたミディアムテンポのナンバー。苦労のレコーディングの末に仕上がった「からっぽ」は本人も納得のタイトル。インタビューではニューシングル「からっぽ」の制作エピソードに加え、音楽との出会いからこれまでを語ってもらった。
- INMUSIC
- まず佐藤さんの音楽的な背景から伺わせてもらえますか?プロフィールを見させてもらうと子供の頃から音楽と触れ合ってきたようですが。
- 佐藤
- 両親が洋楽が大好きで、一日中自分達が好きな音楽をかけている環境の中で育ってきたので知らず知らずのうちに音楽が私の体の中に入ってきてて、物心がつくようになったころは自然と自分が好きな曲を手にとって選ぶようになってました。
- INMUSIC
- 当時聴いていたアーティストや曲を覚えてたりしますか?
- 佐藤
- ビデオに残ってるみたいなんですけど「この曲をかけると私がすぐに踊りだした」っていうのはMCハマーさんとか、シェリル・リンさんとかエリカ・バドゥさんとかジャニス・ジョップリンさんとか...。立てないぐらいに小さい頃なのに柱につかまって踊ってたみたいです。
- INMUSIC
- 歌ってる姿とかもビデオとかに残ってたりするんでしょうか?
- 佐藤
- それは聞いたことないんですが、母からは幼稚園の送り迎えの車の中で「すごい熱唱してた」って話を聞きました。
- INMUSIC
- あと小学校3年生の時にゴスペルのワークショップで歌ったエピソードがとても興味深かったのでぜひ聞かせて欲しいんですが。
- 佐藤
- 私、歌うことや音楽が人一倍大好きなんですけど、すごい引っ込み思案で。母の前とかでは大丈夫なんですけど友達とか同級生のお母さん達の前では全然歌えないんですよ。何をするにしても「私はあとで大丈夫です...」っていう感じの子供時代を過ごしてて、その私の引っ込み思案を変えてくれたのがゴスペルとの出会いでした。
- INMUSIC
- なるほど。
- 佐藤
- 最初に通っていたゴスペルクワイアさんのところでも一番後ろの方でなるべく目立たないように歌ってたんですが、でもそこのディレクターの方が私の歌声を密かに聴いていたみたいで、ある日「もうすぐゴスペルのライブをやるんだけど、そこで"OH HAPPY DAY"をやるからソロをとってみないか」って言ってくれたんですよ。本当だったらすごく嬉しいことだと思うんですけど、その頃の私にとってはそれが嫌で嫌で「私が一人で歌うなんて絶対無理!」って泣いて帰ってしまったんです。
- INMUSIC
- 練習もせずに?(笑)
- 佐藤
- はい(笑)とにかく嫌だったのと一人で歌うことが本当に不安で怖くて。でも歌うことは好きだったので毎週一回の練習は行ってたんです。「(先週のことは)もう忘れてるかな?」と思って。
- INMUSIC
- (笑)
- 佐藤
- でも「この間の話まだ覚えてる?」って...。でも「できないですよー」って3ヶ月ぐらいずーっと断り続けたんです。
- INMUSIC
- 毎週言われるんですか?
- 佐藤
- はい。毎週々々「歌ったら本当に楽しいから」って色々な言葉で説得してくださって...。で、そのうち子供ながらに毎週これだけ大人の方が一生懸命に言ってくれてるのにここまで断り続けるのは悪いかな?って気持ちがちょっと出てきて、ものすごい勇気を振り絞って「練習の場所で一度だけなら...」って。でもそのクワイアは私が一番最年少で周りの方は大人ばかりの40~50人ぐらいのところで...。
- INMUSIC
- 子供用のスクールとかではなく大人の中に混じって歌ってたんですか?...なぜまたそんな所に?
- 佐藤
- 私がゴスペルに興味が湧いたのは「天使にラブソングを」という映画見てからなんですけど。元々母も歌うことが好きだったので「子供一人じゃ危ないので...」って。
- INMUSIC
- お母さんの通っていたゴスペルクワイアに一緒に行ってたってことですか?
- 佐藤
- はい。それで、そのクワイアで歌ったんですが、そしたら大人の方たちが涙を流したり、ものすごい拍手をしてくれて...。そんな光景って中々見られないじゃないですか。「私の歌で大人の人達がこんなに感動して手を叩いてくれるんだ」っていうのを肌で感じたのがすごい快感だったんですよ。それが忘れられなくてその日から「歌手になろう」って思うようになりましたね。
- INMUSIC
- 映画にも正にそういうシーンがあるじゃないですか。それが現実に目の前に現れた瞬間と言うのは歌ってる佐藤さんだけじゃなく、見ている大人たちにとっても相当感動的な光景だったと思いますよ。
- 佐藤
- 「鳥肌が立つ」ってああいう事だなって小さいながらに思いましたね。
- INMUSIC
- それが小学校3年生の出来事ですよね。それ以降の音楽に関するエピソードはありますか?
- 佐藤
- それから1年ぐらい後に通っていたゴスペルクワイアでは2年に一度アメリカのオークランドに行って賛美歌を歌いましょうっていうイベントがあって、そこに私と母のタイミングが合ったので40人ぐらいで行ったんですが、私達のクワイアがロサンゼルスの教会で歌う時にたまたまスティービー・ワンダーさんが来られてて...。歌ってる時には本当に私達の目の前で聴かれてたんです。もちろん私一人で歌ったわけじゃないですけど歌い終わった後は「ブラボー」って言ってくださって、それだけでも私にとってはすごく大きな経験でした。また別の教会ではユース・クワイヤって言う私と同じ年代ぐらいの子たちが入ってるところで歌わせてもらったんですけど、そこにいる子たちって私よりはるかに幼い2~3歳ぐらいの子が大人顔負けのグルーブ感のあるドラムを叩いたりするんですよ。ドラムセットに隠れちゃうぐらい小さいのに。それって日本じゃ見られない光景じゃないですか。今思うとあの時、音楽の本場に行けてよかったなっていうのはありますね。
- INMUSIC
- プロフィールを見させてもらってふと思ったんですが、佐藤さんってもしかして小中学校生活の中ではかなり「浮いて」ませんでした?
- 佐藤
- そうですね(笑)音楽の面ではすごく浮いてたかもしれないですね。同級生ともたまに音楽の話になったりして私が「これかっこいいよね」って言っても「???」って顔をされることも多かったので学校ではあまり音楽の話もしないようになりましたね。
- INMUSIC
- その後、本格的に1年間レッスンを受けたそうですが。
- 佐藤
- それは今の事務所に入ってからで、Diva Grayさんのレッスンを体験させてもらったんですが、先生が私の声を気に入ってくださって「ぜひ私と一緒にやりましょう」というお話をいただいてから1年間やらせていただきました。
- INMUSIC
- レッスンで先生に指導されたこと、言われたことで覚えていることはありますか?
- 佐藤
- 私はコリーヌ・ベイリー・レイさんとかインディア・アリーさんとかがすごく好きなんですけど、先生から「史果はタイプ的にそっちに近いからその人達について勉強すると自分の力になるよ」って言われたのがすごく嬉しかったですね。
- INMUSIC
- では、自分自身では自分の声や歌い方を客観評価することってありますか?
- 佐藤
- 私の声って決してブラックっぽい声じゃないと思うんです。でもソウルフルな歌い方や私のバックボーンでもあるゴスペルの歌いまわしや余韻が出てると思うんでそういうミスマッチが面白いかな?って自分の歌を聴いてて思いますね。
- INMUSIC
- わ!このインタビューのテーマにしようと思ってた言葉がもう出てしまいました(笑)
- 佐藤
- すいません(笑)
- INMUSIC
- いえいえ、すごく興味深いお話です。では、少し話の方向性を変えて今YouTubeで「フミカバー」という動画が上がってるんですが、あれは...何なんでしょう?(笑)
- 佐藤
- あれはですね。私が音楽友達と楽しく歌で遊ぶっていう企画で、この間、第一弾としてやらせてもらったんですけど、私が好きな曲はもちろん、スタッフさんが好きな曲、私が初めて歌う曲とか自分の可能性を広げるためにいろんなジャンルを歌わせてもらっています。
- INMUSIC
- それまで音源でしか佐藤さんの歌を聴いたことがなかったので「ライブとかありませんか?」ってレーベルの方に問い合わせたらあのYouTubeを教えていただいたんですが、ポリスの「見つめていたい」のカバーは最高でした。あの企画はこれからも継続していくんですか?
- 佐藤
- はい。前回は童謡とかも歌いましたけど日本のポップスとかカントリーとかいろんなジャンルをやれたら楽しいだろうなーって思ってます。
- INMUSIC
- それでは今回のシングル「からっぽ」についてお話聞かせてくだい。普段の制作はどんな感じで進行してるんでしょうか。
- 佐藤
- 今は楽曲や詞をいただいているので、それを聴きこんだり読んだりして曲の中の主人公を創り上げていくって感じです。
- INMUSIC
- レコーディングは順調でしたか?
- 佐藤
- 今回の「からっぽ」は感情とテクニックが両立しないとできない曲だったので、苦労したし壁にぶつかった作品になりました。感情だけをフルに出してしまうと心はこもってるけど、テクニック的に粗かったり耳触りが悪かったりしてしまうし、逆にテクニックをフルにしてしまうとただの「音」っていう感じで、耳触りはいいけど「なんか刺さらないんだよね」って感じになってしまって。その両立が上手くできていなかったのでこの曲に出会うことですごくレベルアップできた作品になったかな?って思いますね。
- INMUSIC
- ファーストシングルの「All for you」のときはそこまで苦労しなかった?
- 佐藤
- 前回のシングルは私自身の経験を歌った作品だったのでやりやすかったんですけど「からっぽ」は失恋がテーマだったので...。もちろん失恋を経験したことはあるんですけど、カップリングの「Gift」がウエディングソングだったり、「泣いて笑って」は男の人の恋心がテーマだったり、私が全く経験していないこともあったので「どんな感じなんだろう」って試行錯誤しました。周りの大人の方に尋ねたり、小説を読んだりして「こういう感じなのかな?」って想像しながらできた作品だと思ってます。
- INMUSIC
- 制作現場にはディレクターさんやプロデューサーさんがいらっしゃると思うんですけど、その方々からどんなことを言われました?
- 佐藤
- 自分では「うまくいった!」って思っても「ちょっと心こもってないんだよね」って言われてたりして...。通常レコーディングでは、だいたい1日で録り終えるんですけどこの「からっぽ」は2日やらせてもらいました。で、その2回目で感情とテクニック、それと自分を客観視するやり方を得ることができたので結果的にすごくいい作品になったと思いますね。
- INMUSIC
- 「これでいいじゃん!」って反発したくなったりはしなかったですか?
- 佐藤
- 「今、良かったのにな?」と思っても後でみんなとプレビューで聴いてみると「確かにそうかも」「なんでできないんだろう」ってすごく悩んだりもしました。
- INMUSIC
- 佐藤さんの歌は聴いていて技量があることや表現の上手さというのはとても伝わるんですが、歌っている歌詞の内容は決して佐藤さん自身の同世代感や10代の女の子が使うような言葉やモチーフが出てくる訳じゃないじゃないですよね。むしろ大人な感じというか...。そんな曲を歌うことと等身大の佐藤さとの間にギャップを感じたりすることないですか。
- 佐藤
- そうですね。この「からっぽ」の中では色んな言葉遣いで悲しさや辛さ、失恋の空虚感や喪失感が歌詞の中で表現されているのですが、言葉は違っていても胸の痛さとかは同じだと思うんですね。なのでギャップとかはあまり感じなかったです。歌ってる時はすごく落ち込んでましたし(笑)、歌の中に気持ちを込められたかな、って思いますね。
- INMUSIC
- シンガーソングライターと違って他の人が書いた曲や詞を歌うことだけで自己表現しなければならない「シンガー」って、実はすごくストイックだったり、辛かったりする大変な作業なんじゃないかな?と思ってるんですが、佐藤さんは歌で自分を表現するということに対してどんな風に考えたりトライしてるんですか?
- 佐藤
- 確かに私の言葉ではないので言い回しとかは全く違うし「こんな気持になれるかな?」と思ったりはするんですけど、逆にその気持ちになりきってしまったり、想像したり人に聞いたりしながら「探してつかむ」と言うか色々な気持ちを吸収して自分らしい歌いまわしだったり、自分なりの解釈をしながら歌うようにはしてますね。あと、今は歌詞や曲を提供していただいて色んな方のメロディや言葉の勉強をさせていただいてるんですけど、ゆくゆくは歌詞も書いていきたいので「こういう感情の時にはこういう言葉使いがいいんだ」って勉強できているので今私が置かれている状況は恵まれてる環境だなって思ってますね。
- INMUSIC
- 客観的にみると大変なことのように思えるんですが、それを勉強の場と捉えられるのはすごいと思います。
- 佐藤
- いえいえ。とんでもないです。
- INMUSIC
- 佐藤さんの歌を聴いた時にまず最初に「ポップシンガー」だな、久しぶりに耳にグサっと刺さる声を持ってる人だなと思ったんです。
- 佐藤
- ありがとうございます。
- INMUSIC
- それから曲を聴き込むうちに、実はブラックミュージックの要素がサウンドの中に詰め込まれてるなって感じるようになってきて...カップリングの曲とかは特に。佐藤さん自身が実際に歌っていてそんな風に思うことはありますか?
- 佐藤
- 元々私が聞いてきたゴスペルやブラックミュージックがバックボーンに刻まれてるので自然と出ちゃうんですよね。でもそれが私の個性や味になっていると思うし、スタッフの方もそこがすごくいいと褒めてくださるので自信にもなっています。
- INMUSIC
- 自分で歌っていてそれが特徴的に出ているって感じるところってどこでしょう?
- 佐藤
- そうですね。余韻やフェイクの入れ方とか...演歌のこぶしの入り方とは違うゴスペルやブラックミュージックならでは感じが出てるなとは思ってて...ちょっと話がズレてしまうんですけど実は私、日本の方の曲をあまり聴いてこなかったので最初は日本語の歌を歌うのがすごく下手だったんです。それをどうやったら日本語に私の歌い方を乗せることができるかを考えたりするんですけど、徐々にサウンドに乗ってきてるなって感じは今回の「からっぽ」を聴いても思うし、1stの「All for you」からも徐々に前進できているのは、自分でも自覚しているので、もっとがんばらなきゃなって思いますね。
- INMUSIC
- 佐藤さんは今回のシングルをどういう人達に聴いてもらいたい、どういう人達に届くだろう?って考えたりしますか。
- 佐藤
- リードトラックの「からっぽ」は失恋がテーマなので、きっと誰もが一度は経験したことがあることだと思うので、今恋愛真っ盛りな10代の人には是非聴いてもらいたいし、失恋してしまった人にもこの曲を聴いて泣くだけ泣いてもらって次の新しい出会いに進んでいって欲しいなって思います。あと他の世代の方たちにもそれぞれの思い出と重ねて、聴いていただきたいな、と思います。「Gift」は結婚がテーマの曲なので結婚間際のカップルの方や両思いの人、「からっぽ」を聴いて新しい未来に進んでる人にも聴いてもらいたいですし、「泣いて笑って」は男の人の気持ちを私なりに歌った曲なので男の人に是非聴いてもらいたいなって思いますね。
- INMUSIC
- では、最後に佐藤さん自身が将来どんなシンガーになりたいかを聞かせてもらえますか。
- 佐藤
- 大きな話になっちゃうんですけど(笑)まずは日本中の方に私のことを知ってもらいたい、街中を歩いていても気づかれるぐらいになりたいです。そうなってからゆくゆくは世界、日本を代表して世界で通用できるアーティストになりたいなって思ってます。
- INMUSIC
- その時歌っているのはゴスペルやブラックミュージックなんでしょうか?
- 佐藤
- うーん、どうなんですかね。でも色んなジャンル、どんな音楽でも通用できるアーティストになれるといいなって思ってます。
- INMUSIC
- さっきも言いましたが佐藤さんは一見ポップシンガーのようですが聴けば聴くほどブラックミュージックがベースにあるのが分かってくるシンガーだと思うので「佐藤史果って実はディーバだよね」って評価されるようになるといいな、って思ってます。これからも楽しみにしてます。今日はどうもありがとうございました。
- 佐藤
- ありがとうございました。


















