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「BiS」のサウンドプロデューサー松隈ケンタ氏インタビュー(前編)アレンジ・サウンドプロデュースの仕事&BiSの誕生秘話。[11/09/07 01:17]

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「BiS」のサウンドプロデューサー松隈ケンタ氏インタビュー(前編)アレンジ・サウンドプロデュースの仕事&BiSの誕生秘話。
奇抜なプロモーションと激しいロックサウンドとライブパフォーマンスで今、アイドル業界に旋風を巻き起こしつつあるBiS。そのBiSのサウンドプロデューサーとして柴咲コウや中川翔子など多くのメジャーアーティストも手がける松隈ケンタ氏へのインタビュー。リスナーからは分かりづらいアレンジやサウンドプロデュースという仕事について掘り下げてもらいつつ、松隈氏のプロデュース手法やスタッフサイドから見たBiSの姿についてじっくり語ってもらいました。
INMUSIC
まず最初に松隈さんの経歴から伺わせてもらいたいんですが、バンド活動はいつ頃からやってたんですか?
松隈
高校時代から色々やってて、2000年ぐらいから「Buzz72+」っていうバンドで自主で活動してたんですね。で、2005年にそのバンドでデビューすることになったのでそのタイミングで東京に出てきました。
INMUSIC
じゃあ活動はほぼバンドだけ?
松隈
バンド一筋でしたね。車一台買って4人で全国回ったり。
INMUSIC
東京に来てからは音楽活動をされてたんだと思うんですが、2007年にバンドが活動休止になって、それ以降は作曲やアレンジ、サウンドプロデュースをされているということでよいんでしょうか。
松隈
そうですね。
INMUSIC
他のミュージシャンとお仕事をすることはバンドをやってる頃から関心あったんでしょうか。
松隈
バンドでは作詞作曲は9割ぐらい僕がやってたんです。あと最初に入った事務所が作曲家さんがたくさん所属する事務所だったんですよ。なので事務所の中でも作曲に対する意識が高くて、バンドやっている頃から「曲はどんどん作りなさい」って言われてたんです。なのでバンドやりながらも頭の中にはありましたね。ただ当時は「バンドで売れたい」って気持ちは強かったですけどね。
INMUSIC
で、今はBiSのサウンドプロデュースを手がけられていますが、BiSのマネージャーの渡辺さんとは古い付き合いなんですか?
松隈
渡辺くんとの出会いは3〜4年前だと思うんですけど、バンドなくなってレコード会社や事務所を辞めて給料がなくなっちゃったんで、某レコード会社のスタジオでバイトをしてたんですよ。そのスタジオの新入社員として入ってきたのが渡辺くんなんです。そこで一緒に働いてるときに「松隈さん、僕がアーティスト見つけてきたら一緒にやりましょうよ」って飲みながら喋ってたんですけど、それから渡辺くんが今の会社に入って、僕も作曲家活動をしていたら本当に渡辺くんから「見つけてきました」って連絡があって連れてきたのがプー・ルイだったんです。
INMUSIC
その頃からサウンドのイメージは今につながるものがあったんでしょうか。
松隈
そうですね。プー・ルイがソロ活動してたころの曲は過去にほとんど渡辺くんにも聴かせてて「いつか使おう」って言ってたんですよね。最新シングルの「My lxxx」とかもその頃聴かせてた曲ですね。
INMUSIC
今回松隈さんにお話を聞きたいと思ったのにはひとつ理由があって。編曲(アレンジ)やサウンドプロデュースという仕事って聴く側からするととても分かりづらくて、作詞作曲と並んでクレジットされている「編曲」って何をする人なんだろう?と。それで色々勉強させてもらってるうちに「アレンジってものすごく大事な仕事なんじゃないか?」って思うようになってアレンジやサウンドプロデュースという仕事に興味が出始めたんです。で、BiSのサウンドプロデュースやアレンジをしている松隈さんにぜひ話を聞ければと。
松隈
「プロデューサー」っていうと僕らの世代だと小室哲哉さんやつんく♂さんのように楽曲制作全部をやってるイメージがあるじゃないですか。でもそれはあの人達が才能があるからやっている訳で、実際はプロデューサー、作曲家、作詞家、アレンジャーっていうのは全部やることが違うんです。ただ世に名前が出るのは作詞家作曲家なんですよね。僕は作曲の仕事もしているので、そういう時は逆に申し訳ない気持ちもあったりするんですけど一番大変で大仕事なのはやっぱりアレンジですね。作詞っていうのは作詞家さんがワードとかに起こした文章だったり、作曲はアコギに鼻歌を歌うだけでも作曲になるので、ある意味そこまでの仕事なんですよ。それにイントロをつけて、楽曲全部のイントロや間奏、エンディングをつけて楽器を演奏して...って曲のオケを作るのがアレンジャーですね。
INMUSIC
その作業は作曲家さんがやるんだろうってイメージがあったんですが、実際はアレンジャーさんの仕事なんですよね。あと曲の印象や雰囲気を決めるのはほぼアレンジワークだったり...。
松隈
ジャンルとかは特にそうですね。
INMUSIC
あとアレンジワークで大切なことがその時々の「時代感」で、アレンジャーの人たちは客観的に音楽シーンや流行を見たり分析しながら制作をしているんじゃないかな?と思ったんですが。
松隈
映画で例えると作詞作曲は「脚本」に当たるものだと思うんです。で、音楽で言うアレンジャーは映画だと「画」を作る人。今だったら「トランスフォーマー」とか「アバター」とかビカビカの画に慣れちゃってるじゃないですか。音楽の場合でもリスナーがどんな今耳になってるかが分かってないと。自分が好きなものだけ作ってると古臭くなっちゃうんですよね。メロディについては日本人が好きなメロディが昔から脈々と受け継がれていて、洋楽が好きな人でも「日本人が好きな洋楽」って耳になってると思うんですよ。アレンジではそこに新しいサウンドを入れていかなきゃいけないかな、と言う風には思ってます。
INMUSIC
松隈さんご自身はアーティストやプレイヤーとしても活動されていると思うんですが、そのアーティストの視点でアレンジという仕事を考えるとどうですか?
松隈
BiSの他にしょこたんの仕事もさせてもらってるんですけど、自分はそのバンドギタリスト...ボーカルがBiSだったりしょこたんだったりするバンドのメンバーって感覚でやってるかもしれないです。
INMUSIC
そうやってシンガーやアーティストのアレンジやサウンドプロデュースを手がけられる中でも、ソロのボーカルへの楽曲制作とBiSのように「アイドルグループ」とでは違いと言うか、特殊な所があるような気がするんですが。
松隈
最初は「4人いる」と言う所でどうレコーディングしたらいいか分からなかったですね。順番に歌うのか同時に歌うのか。音が右と左から聴こえてくる所を4人はどう聴こえてくるべきなのか、と言う所ですごく悩んで、レコード店に行って片っ端から聴きましたけどそれでもよく分からなくて最後は「好きにやっていいのかな?」と思ってやりましたね。
INMUSIC
あと一人々々の「声」のレベルが全然違うじゃないですか。先日BiSさんが歌っているのを聴いていて、この4人の「声の違い」を合わせて曲として仕上げるのは相当大変だろうなぁと思ったんですが。
松隈
よくぞ気づいていただきました!実際はレコーディングした後が一番苦労しますね。音量はまだ調整できるんですけど、音圧というか存在感や声質は4人バラバラだし...。例えばこの子とこの子の声を混ぜたらこんな声になる...って絵の具みたいに混ぜて作ってますね。他のアイドルの人がどうやってるのかは分からないですけど、BiSに関して最近分かってきたのは、メインはプー・ルイなんですよ。ただ、ちょっと聴こえづらいんですけどバックのほとんどの部分にのんちゃんをハモらせてるんです。ここでのんちゃんの声を取っちゃうとみんなが普段聴いてるプー・ルイの声じゃなくなるんです。そのベストバランスなんですよ、BiSって。リナがいた時もそうで、リナとのんちゃんもまたベストマッチで...。そこに飛び道具としてユケの声がバーンと入ってくるとサビっぽく聴こえるみたいな...そういう感じで考えてますね。まあ、メンバーは「もっと私を前に出せ!」としか言わないですけど(笑)
INMUSIC
(笑)
松隈
そういうのは「うるさいうるさい」って聞かないんですけど(笑)
INMUSIC
のんちゃんも言うんですか?
松隈
のんちゃんも「メイン歌いたい!」って言いますね。ホントなら順番に歌わせてあげる方がファンの人も喜ぶんでしょうけど、その辺についてはみなさんお気づきかもしれないですがアイドルというよりはアーティスティックに聴かせたいという思いがあるので「4人で1つの声」「4人で1つのアーティスト」と言うのを意識してやりたいなって思ってます。
INMUSIC
BiSのサウンドがロックテイストなのはプー・ルイさんソロの頃からあったアイデアなんでしょうか?
松隈
僕がロック畑の人間だからロックっぽくなるんだろうとは思うんですけど、ジャンルってどうでもいいと思ってて。僕はギターが鳴ってたらロックだろうってぐらいにしか思ってないんで(笑)ジャンルっ便宜上あるものでアイドルだろうとアニソンだろうとロックだろうとなんでもいいんですけど、BiSに関しては「何でもアリ」な存在にしたかったんですね。僕がロックが好きなせいか「ロックっぽい」面が出てるんですけど、実はエレクトロやラップっぽいのもあるし、BiSのファーストアルバムに関しては「13曲入り13ジャンル」っていうのを目指してたんですよ。ガストみたいな感じにしたくて。
INMUSIC
ガスト?レストランの?
松隈
ガスト行ったら何でもあるじゃないですか。和食も洋食も。音楽でもそういうのがあっていいんじゃないかな?と思ってて。ただ僕が言うのも変かもしれないですけど、みんながBiSをロックだって思うのは実は音のせいではなくて、あいつら4人のせいだと思うんです。本人たちがロックなんですよね。破壊的じゃないですか。僕もインディーズバンドを見ているような感覚でやっているので。
INMUSIC
ただ、松隈さん自身がやられてたバンドの「Buzz72+」だったり他のアーティストさんに提供している楽曲と比べてもBiSのサウンドは違う気がするんですが。
松隈
もちろんいろんな現場があればその現場の意向があるのでそこに行けばそれにに合わせてやるんですけど、BiSは音楽に関しては好きにやらせもらってるんですよ。なので僕がやりたい音が一番出せてるのはBiSですね。
INMUSIC
次にプー・ルイさんの話を少し聞かせてもらいたいんですが。初めて会った時の印象はどんな感じでしたか?
松隈
初めて会った時はほんわかした子がだなーって感じでしたね。今よりアイドルな雰囲気がしましたよ。礼儀正しくて。
INMUSIC
ライブで放送禁止用語とかも言わない感じで?
松隈
言わない言わない(笑)まだその頃は仮面かぶってましたね。
INMUSIC
それが変わっていったのはいつ頃からですか?
松隈
ソロで一年ぐらいやって、そこそこ盛り上がっては来てたんですけど、僕も渡辺くんももっと大きな所を見てたので「全然足りん」「女性ロックアーティストにならなきゃいけないんだからもっと風格出せよ」とかいわゆる"事務所から言われる"って感じでビシビシやってたんです。ただプー・ルイ自身も悩んでて、去年本人から「私、本当はアイドルがやりたい」って言った時に意外にも周りのみんなが「いいやん」って言っちゃったんですよ。そこからからですかね。初めて自分の言いたいことを言わせたんで責任感も生まれたんでしょうね。
INMUSIC
僕がプー・ルイさんを初めて見たのはソロでの活動のホントに最後の方で、そのライブがすごくかっこよかったんです。バンドのスタイルやプー・ルイさんのボーカルやサウンドも。なのでこの先にアイドルグループになってしまうのがもったいないって思ってたんですが、驚いたことにBiSになってもサウンドが継承されてて...それも最初から考えてたことなんでしょうか?
松隈
そうですね。そこは1人だろうと4人だろうと仮に20人にだったとしても同じ事をやろうと思ってましたね。
INMUSIC
そして4人でBiSになった訳ですが、初期メンバーのりなはむさんを含めたそれぞれの特徴というのはありますか?
松隈
最初の3人を選んだ時はスタッフの中で色々話したんですけど、選ぶ方向性としてまとまったのが「いわゆるアイドル」を見つけても面白くないから「根性ありそうなやつを入れよう」と。それで一番根性ありそうだったのがユケとのんちゃんだったんですね。方向性がまとまったときにその二人は文句なしでババっとに決まりましたね。やっぱり二人は目が違ったから。
INMUSIC
ユケさんは雰囲気からもなんとなく分かるんですが、のんちゃんは意外な感じがします。
松隈
のんちゃんは光るものがあったんですよね。書類を見て印象に残る子には印をつけたりコメントを書いたりするんですけど、のんちゃんの所だけ「なんか分からんけど気になる」って書いてたんですよ(笑)で、オーディションの後みんなで話し合ってたときに誰かがのんちゃんのことを「何か気になるって書いてるんだけど...」って誰かが言ったら。他の人からも「僕も書いてます」って意見が次々に出て。みんな気になってたんですよ、のんちゃんのことを。理由は誰も分かってないんです。だけど「この子は入れたい」って存在がのんちゃんでしたね。
INMUSIC
その時は分からなかったかもしれないですが、ここ最近ののんちゃんの人気はその「何か」を感じさせますね。
松隈
ライブでののんちゃんコールもすごいし...。素晴らしいですね。とにかく頑張ってますから。
INMUSIC
さきほど声の話がありましたが、のんちゃんの声のベース感というのは他の3人が持っていないものですよね。あと、のんちゃんは絶対音感があるんでしたっけ?
松隈
そう。ミュージシャンでさえ目をつぶった状態で「ド」を弾かれてもそれが「ド」か「レ」かは分からないんですよ。音大を出てクラシックをやっている人は分かる人もいると思うんですけど。でものんちゃんは小さい頃からピアノをやってるから「分かる」と。で、オーディションした会場にピアノがあったので「じゃあこれなんだか分かる?」って「シ」を弾いたんですね。そしたら自信満々に「レです」って言ったんですよ。それで僕はこの子は何かあるって思っちゃったんですよね(笑)
INMUSIC
(笑)
松隈
間違えてるのに堂々としてたんですよ。なので本当に絶対音感あるかどうかは謎ですね(笑)でもそれを恐る恐る答えたら面白くないですけど、とにかく自信満々だったんで。
INMUSIC
なるほど(笑)ただ、メインボーカルを取りたいって言っているのんちゃんがもしメインを歌えるようになったらBiSのサウンドにも深みが出るのかなと思ったりするんですがどうでしょう?
松隈
これはあまりメンバーには話してないことですけど、僕は「上手いから」「下手だから」っていうのは実は全然考えてなくて...。
INMUSIC
そうなんですか?
松隈
下手でも前が良ければ前に出すし...言ったらみんな下手だから(笑)まだまだ上手いなんて思ってもらっちゃ困ります(笑)そう言う意味ではみんなのいい位置があると思うから、曲によってはのんちゃんが前の曲もあるし、ユケだけの曲も作っていきたいと思ってるし...。
INMUSIC
先ほど伺った選考基準が「根性優先」という事だったんですけど、その割には最初のオリジナルの4人の声のバランスはすごくよかったと思うんです。まず絶対的な存在のプー・ルイさんがいて、ユケさんの繊細と言うかとんがった感じの声...あのユケさんの声がないと何か足らない感じが出ちゃうと思うんですが、そのユケさんがいて、のんちゃんのベース感。そしてりなはむさんの本当にアイドルっぽい感じと...。あのバランス感は偶然だったということなんでしょうか?
松隈
そうですね...僕のプロデュースの基本の考えの一つとして「素材を活かさない」っていうのがあるんですよ。色んなバンドを見てきたし、色んなアーティストさん手伝ったりしてても最初っからいい声とか素材のある人ってほとんどいないと思ってて。もちろんいい歌を歌う人はいるとは思うんですけど、それは何万人の内の一人で。だから選ぶときも何も考えてなかったです。声質とかジャンルが合うかどうかとか。逆に音を作ってからメンバーを呼んで「じゃあ順番に歌ってみよう」って言うとメンバー自身が「こうすればいいのかな?」とか「私はこういうキャラクターなのかな?」とか色々考えだすじゃないですか。その結果としてあの4人が上手く"ニュル"っとハマった気がするんです。それに合わせてもちろん僕のサウンドも"ニュル"と変わるし...。その辺は「型にはめる」っていうアイドルのやり方とBISとは違う所かもしれないです。
INMUSIC
「プロデューサーとアイドル」という関係性で見るとどうしてもプロデューサーの作った枠組みの中に人がはまっていくように見えがちなんですけど、そうではないんですね。
松隈
それが僕はちょっと嫌だったので別の方法でやってるんですよね。それで結果的に4人の声のバランスもハマってくるのかな?と。だからユフちゃんに変わる時も何も心配しなかったし、ユフちゃんが入ったら入ったでまた面白いことになるだろうなって。
INMUSIC
ユフさんのレコーディングはもうやっているんでしたっけ?
松隈
今回の「My lxxx」のシングルは全曲やりましたよ。ユフちゃんに決まってから1〜2日後だと思うんですけど、僕のデッドラインがあったんです。この日までに音を上げなきゃいけないって渡辺くんに言われてて。僕も「新メンバーの声入れないかんけん、早よ連れてきて」って(笑)で、決まった次の日?に呼ばれてバタバタで録音したんですね。
後編:BiSの未来、そして松隈氏が立ち上げた音楽制作チーム「SCRAMBLES」とは!?へ続く

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