Sweet VacationE-TRiPPER3
2008年12月にエレクトリック・ビーツで進化する電子の宴と銘打たれその1回目が開催された「E-TRiPPER」も3回目を迎えた。さらに今回は主催者でもあるSweet Vacationの1stフルアルバム「pop save the world!!」のリリースパーティーも兼ねて華々しく催された。今回の「E-TRiPPER3」のラインナップはJaccaPoP、LIL、SAWA、TIGARAH、そしてSweet Vacationといずれも個性豊かなアーティストばかり。エレクトロ系サウンドのアーティストと言いながらここまで幅広いアーティストが揃い、そして一度に楽しめるイベントもそうそうない、いやE-TRiPPERだけではないだろうか。2009年8月28日渋谷duo music exchangeで催された夏の終わりの電子の宴「E-TRiPPER3」の様子をじっくりお楽しみください。 text by INMUSIC / photo by papico
E-TRiPPER3のステージにトップバッターとして渋谷duoのステージに表れたJaccaPoP。
前回の「E-TRiPPER2」に引き続き2度目の登場だ。9/9にアルバム「Parsley」で待望のデビューを迎える2人にとってはそのお披露目の舞台とも言えるだろう。M1の「MIRU key way」から軽妙なサウンドとMIRUのヴォーカ
ルがduoの空気を満たしていく。風に舞うようにステップを踏むMIRUが歌う姿は、昨今のエレクトロ王道のビリビリ、ゴリゴリ感とは全く異なりキュートで爽やかな印象だ。そしてサウンドクリエーターSUNの織りなすサウンドとメロディーはキャッチーでおしゃれ感漂い、初めてJaccaPoPを見、聴く人の耳にもスッと入ってくる。また、そうかと思えばM3では、MIRUとSUNの2人が並んでDJブースに立ち、ディスコチューン全開の「音no化GA9式」をオペレーションしながら歌うパフォーマンス。ラストに披露した「チェルシー」はロービットなイントロから冴えまくりのJaccaPoPのライブでは定番の代表曲。観客と一緒に手を振る中でMIRUのミルキーヴォイスも一層映えて、E-TRiPPER3のオープニングを飾っていた。
そのライブパフォーマンスは渋谷に集まった観客にも確実に伝わっていたようで、この日の会場で特別先行販売されていたアルバムはライブ終了後、5分で即完売。。ちなみにこの日のセットリストの楽曲は全てこの「Parsley」に含まれている。この日のステージを振り返りたいリスナーはぜひともチェックしておこう。
2番手として登場したのはこちらもE-TRiPPERは2度目の登場となるLIL。
かねてから多くの噂を集めていたLILだが、この日はステージでは2つのビッグニュースが発表された。1つは12月のメジャーデビュー。それに伴ってこれまでアーティストネーム「Lil'」を「LIL(エルアイエル)」に変更するとのこと。アーティストネームの変更については「よくわかんないー」との観客からの声に「ほら~やっぱり言われた~w」とちょっぴり嘆いていたucio(Vo)だがそのサウンドはこれまでと変わらずパワフルだ。
iTunesエレクトロチャート1位を獲得した「me,too」をM1から惜しげもなくドロップ。渋谷duoはいきなりクラブ色に包まれた。M2の「MOSHI MOSHI RADIO」ではダンサー2人を従え、空手の型やかめはめ波まで繰り出すパフォーマンス。アッパーで重圧なLILのサウンドは観客を否応無く巻き込んでいき、全身黒ずくめの衣装をまとったucioのアグレッシブでセクシーなアクトにフロアは盛り上がらずにはいられないと言った様子。ライブの最後に披露された「Lesson One」(こちらもiTunes エレクトロチャート1位)ではギター型の風船(文字通りエアギター?)を振り回しての大暴れっぷり。ラップを交えた煽り感満載の「Lesson One」にフロアから歓声が止むことはなかった。
E-TRiPPERならではの楽しみと言えば、ライブの転換中のDJプレイ。ついさっきまでステージを湧かせていたアーティスト、この後に出番を控えたアーティストが次々にDJブースに登場する。この日もSweet VacationのDaichi、LiLの2人、★STAR GUiTARらがプレイ。ブース周辺にはイベント慣れした観客が集まり転換中も合間も余す所なく楽しんでいる様子が印象的だった。
転換のDJプレイが終わり、暗がりの渋谷duoのステージに大きなミラーボールを手にしたSAWAが登場。
一瞬訪れた静寂を破るようにM1の「Stars」が放たれた。カラフルなワンピース姿のSAWAはDJ ★STAR GUiTARのサウンドをバックに表現力の豊かなヴォーカルで、観客をSAWAワールドに引き込んでいく。
M3の「Night Desert」が象徴するように透き通った高音が響くSAWAの歌声は、VOX ICON化される傾向が強い他のエレクトロ系アーティストとは違い、歌そして声をしっかり聞かせるアーティストとして新たな境地を築きつつある。この日のセットリストはデビューミニアルバム「I Can Fly」を余すところなく網羅していたが、この作品はそんな「ヴォーカリスト:SAWA」のポテンシャルが存分に発揮されている。
MCでは「ミラーボール、ミラーボール。あれがないと私...」とミラーボールマニアっぷりを披露したり、「今日はSweet Vacationのリリースパーティーだよ!おめでとうって気持ちで(SAWAのライブを)盛り上がろう!!」と茶目っ気たっぷりなトークで観客の笑顔と歓声を呼んでいた。そしてライブの最後を飾ったのはもちろん「I Can Fly」。一度聴いたら耳から離れないあの「♪I Can Fly~」のフレーズが渋谷duoに繰り返し流れると観客も手を挙げて応える。SAWAもステージを目一杯使って最後の最後までSAWAワールドを演出し切っていた。
今回のE-TRiPPERのラインナップの中ではおそらく最も聴き馴染みがないアーティストはこのTIGARAHではないだろうか。
紛れもない日本人でありながら、活動の舞台をアメリカに持ち、M.I.A.によって世界中で認知された「バイレファンキ」の影響を受け音楽キャリアをスタートしたTIGARAH。毎回多彩なジャンルのアーティストが集まることも魅力の一つであるE-TRiPPERだが、ここまで"ぶっ飛んだ"アーティストが登場したのも初めてではなかっただろうか。
スタンドに設置されたシンセにドラムというバンド(?)構成も過去にないパターンだが、シルバーのパーカーに身を包んだTIGARAHがピンスポットを浴びて登場すると、そこから繰り出されるサウンドは一層の未体験ゾーン。重厚なサウンドに乗るTIGARAHのラップはHIP-HOP?と思わせるがそうでない。ビリビリっとしたエレクトリックビーツは確かにエレクトロに仕上がっているけれども、その音楽的志向はまた別の方向へ突き進んでいる。様々なジャンルの混沌から新たな音楽が萌芽したような...。いや、理屈はどうでもいい、とにかくかっこいいのだ。
おそらくTIGARAHにとってもこの日のステージは少なからずアウェー感はあっただろう。しかしM1「Supa Gurl」、M2「Let Me Plug USB Stick In」と進むうちに確実にフロアをTIGARAHカラーに変えていくと、M3の「Spanky Afro Tiger Jets」では観客との掛け合いも見事に決めていた。ラストの「Space Travel」を披露する頃には渋谷duoは完全にバイレファンキ・サウンドに包まれてTIGARAHのライブは終了した。
いよいよE-TRiPPER3も最後のアーティストの登場を残すだけとなった。8/5に1stフルアルバム「pop save the world!!」をリリースしたSweet Vacationだ。
この日はDaichi、Mayはもちろん、ギターにザ・ジェッジジョンソンの池橋壮一、VJにDr Sugimoto、そして2人のバケイション・シスターズを従えた通称「フルバケイション」仕様でのステージだ。ステージ正面のスクリーンにコマンドラインからスイバケPCが起動する凝りに凝ったクールな映像が映し出され、ライブがスタート。オープニングはスイバケアンセムと言っていい「sexy girl returns ~ prelude~」。
ステージ上のMayのスタイルはターコイズブルーのワンピースにパープルのニーソックス。頭の小さなハット型のアクセサリーがティアラのように輝いてこの上なくキュートだ。続いてプレイされたM2「why don't you」はアルバム中でも1、2を争う人気曲。Daichiのマイクパフォーマンスもピッタリはまって、Mayとの対比が印象的だ。
アルバムそのままに曲順を再現するなどリスナーにはたまらない演出。しかもこの日の「why don't you」はギターのサウンドをCDよりも増し、ライブ仕様にするなど細かなアレンジワークも心憎い。
M3のちょっと懐かしくもある「i miss you」の英語歌詞バージョン。を終えるとライブは普 段のスイバケライブとは少し装いを変えた。Mayはスツールに腰掛け、Daichiはキーボードをスタンバイ。さらにギターの池橋もエレキギターからアコギに持ち替え、ボサノバスタイルの「Life is MiRACLE」「Magical Mystery Tour」の披露。夏の海辺を想わせるムーディーなこの2曲はアルバムの表情に豊かさとアクセントを加え、スイバケに新たなサウンドの広がりを期待させる形に仕上がっている。オープニングからテンションが上がりきったフロアもここで一度小休止。
MCを挟んで再開されたM6からM9までは再びアップテンポな「pop save the world」シリーズ。「Brandnew Wave」「キラメキジェット!」の夏向きな2曲を披露すると、続いて初音ミクとの別プロジェクトとしても話題の「8bit darling」スイバケバージョン。そして、Xbox 360用 ゲーム『0D ビートドロップ』とのコラボレーション曲「Escape!!」も立て続けにドロップ。
Mayはスイバケシスターズと共に楽しげに歌い踊っていたが、事前の振りのリハーサルは2度ほどで当日に望んだらしい。コミカルで動きも激しいスイバケシスターズに当たり前のようについていくMayは、これまで見せてこなかったが、ダンサーとしてのスキルも隠し持っていたようだ。
いよいよスイバケのライブもクライマックスに近づいてきた。「ジェリービーンズ」「ミントアイスクリーム」とgoodyな歌詞がちりばめられた「Shooting Star」はMayがアルバムの中で一番のお気に入りチューン。そしてMayの「すっごく楽しいんですけど、次が最後の曲です」のコメントの後に流れてきたのは「あいにいこう ~I・NEED・TO・GO~」。Daichiがステージ前まで飛び出し「手を挙げよう!」と観客を煽るとイントロのDaichiのヴォーカルでは観客と一緒になってジャンプ、ジャンプ。観客の楽しげな空気に満たされ、渋谷duoがこの日一番の盛り上がったはおそらくこの瞬間だったろう。
「あいにいこう ~I・NEED・TO・GO~」を終えると一旦ステージを後にしたスイバケだったが、このままで終われるはずもなく程なく再びアンコールに登場した。最後のMCは、これもスイバケライブでは恒例になりつつあるMayの「新聞読み上げ告知」だが、ここでなんとE-TRiPPER初の関西進出「E-TRiPPER WEST」、そして「E-TRiPPER4」の開催が告知された。「E-TRiPPER WEST」は11月3日、「E-TRiPPER4」は12月の開催となっている。続報が入り次第INMUSICでも詳細をお伝えするので引き続きチェックして欲しい。
インディーズ時代からネットを中心に様々な話題を提供してきたSweet Vacationだが、メジャーデビューそして1stアルバム「pop save the world!!」のリリースを果たしたこの日のE-TRiPPERのステージはこれまでの活動の集大成的なステージだったと言えるだろう。そしてそのアンコールに用意されたのは「Summer Days」と「I Feel So Good」。どちらもスイバケのライブでは定番でラストを締めくくるのにふさわしいナンバーだ。
再びピークへ上り詰めた渋谷duoとフロアに集まった多くのファンはMayに合わせて歌い、踊り、全てのアクトが終了すると大歓声でSweet Vacationの2人を見送った。こうしてE-TRiPPER3と夏の終わりを見事に締めくくったSweet Vacation。果たしてこれから2人は僕らにどんなキラキラポップを送ってくれるのだろうか...。
▼ セットリスト
JaccaPoP:MIRU key way / 21th centyury girl / 音no化GA9式 / NEW WORLD / チェルシー
LIL:me,too / MOSHI MOSHI RADIO / ミラー / Lesson One
SAWA:Stars / Sing It Back / NightDesert / My Sunny Days / I Can Fly
TIGARAH:Supa Gurl / Let Me Plug USB Stick In / Spanky Afro Tiger Jets / Space Travel
Sweet Vacation:Sexy Girl Returns / Why don't you / I miss you / Life is MiRACLE / Magical Mystery Tour / Brandnew wave / キラメキジェット / 8 bit darling / Escape!! / Shooting Star / あいにいこう 〜I・NEED・TO・GO〜 / Summer Day / I feel So good




